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東京高等裁判所 昭和49年(う)2382号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人佐藤卓也が提出した控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これを引用する。

所論は、量刑不当の主張である。

そこで、原審記録を調査して考察するに、本件は五回に亘つて無免許運転を反覆累行したものであるが、そのうち三回も被告人は取締りの警察官に対して「免許証を家に忘れた」と申し欺いて免許証不携帯として反則金処分で罪責を免れようとしていること、被告人はこれまで道路交通法違反の罪で一三回も罰金刑に処せられており、そのうち最後の昭和四七年一二月の分は無免許(免許停止期間中のもの)・酒酔い運転であることに徴すれば、被告人の法軽視の態度には著しいものがあり、本件の犯情は悪質であるといわなければならず、所論指摘の被告人が会社の従業員に自家用車を運転させて、なるべく自ら運転することを差し控え、必ずしも毎日のように無免許運転をしていたわけではないこと、長い運転経歴にも拘らず事故は起こしていないこと、被告人の反省態度・職業・地位・家庭の状況などについて考量してみても、原判決の量刑はやむを得ないものと判断される。論旨は理由がない。

よつて、刑訴法三九六条により本件控訴を棄却することとして、主文のとおり判決をする。

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